そこにあるのは、ロディアという一人の男の作ることへの執念だけだ。それは誰にも理解されることのない、言い換えれば、一人一人の魂の奥底に潜む「個人の叫び」と言ってもいいだろう。
この個人の叫びをひたすら押し殺してきたのが近代である。近代は個人の個性を分散し、切り捨て、全体的な方向に向けることで成立してきた。
安藤忠雄『安藤忠雄の都市彷徨』プロセスの建築
王→神→人
という具合に「近代」は誕生した。
王権→神権→、ともってくると次には当然「人権」が来る。
神を否定し、個人主義を賞揚することが、近代の特徴であると説くのが多くの立場のようだ。
安藤忠雄の言説はそれとは異なり、個人を押し殺してきたのが近代だというように読める。
近代=個人主義と考えるときの行き場のない感じを、安藤忠雄の言葉は解いてくれるように思う。
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