見えないものは見えない。見えているものも見えない。
「レイン」と、それを呼ぶ人たちがいて、
目の前かあるいは目の中に、あふれる名づけられないものが
感謝のように触れられることを待って並んでいる。
命名することによってそれらはかざされ
人間のように言葉を主張しはじめる
レンガの変容、鼠色の日向に
目を向けたときに、私は
蟹色に溶けていったクロシジミをレンガの
目地にその形を残したちいさな蝶の
苦い舌触りを、思い出しながら洗濯機の絞り器のハンドルを回して母にほほ笑んだ。
例文を参照してあらたに自分の考えを
目の前に並べるように述べること
カイツブリ、カニノテ、寒天の中で生きている
目の中にすむそれらの生物
ニシラはワレラの住みかを犯さずにいるのか
冷凍されたスイカを解凍するにはいくつかの手順が必要だ
命令すること/同情すること/無視すること/気づかぬこと
嚼むことはこれらのどれにもあたらないことなので
目の前を通り過ぎるものが何であるのか考えると
人間の考えが歯の裏にカチンとあたって止まる
冷凍の烏賊があたったかのように胃がむしむししてたまらない
目を瞑って過去の思い当たりをさぐってみるのだが
カメが頭を臓腑を内側に向けて押しつけてくるので
目脂っぽい顔をいつもしていなければならなくなってくる
人間としての責任であって、これは思考の問題ではない
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