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web florva不定期日記

見えないものは見えない。見えているものも見えない。

二つの涙

今年(2011)314日のことだったと思うが、職場から車で帰り着いて、駐車場でカーナビをTVチューナーに切り替えた。
大震災や津波の情報が知りたかった。
カーナビの小さな画面に、一般の人が撮ったという映像が流れた。
高台に避難する人々の足下まで水が迫り、電柱がなぎ倒され、家が押し流されていく映像を見ながら、涙が湧いてきた。


数日後の夜、入院中の父が錯乱しているので来てくれと、病院から連絡が入った。
妻と二人で行くと、どうも父の頭は昔の中にいるようで、興奮している。
妻になだめられている父を前に座って、流れ出す涙をそのままにしていた。
そのとき自分が思っていたのは、父が格好いいということだった。
何かに腹を立てている父の顔は、昔と変わらず、あるいはそれ以上に、素敵だった。


私はこの二つの涙の理由を知らない。
涙の理由を名づけたときに、私の感情は姿を現す。


津波の映像は、私にプリミティブな恐怖の感情を呼び起こしたと名づけられる。
が、父を前にして涙を流させた情動に、私は名をつけることができないでいる。
それは懐かしさに近いものだった。

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