見えないものは見えない。見えているものも見えない。
私には、尾形君という友達がいます。
小学校6年生の、たしか3学期のある寒い朝、朝礼のために校庭に並んでいると、彼が私の所にやってきたのでした。
「ぼく、尾形といいます。友達になってくれる?」
そう言った彼に私は、うんいいよ、と答えたのを覚えています。
じつは、尾形君との関係は、それだけなのです。
その後別々の中学校へ進んだこともあって、彼と遊んだこともなければ、言葉を交わしたこともない。
彼の姿を見たことすらありません。
もう一度会いたいと思っても、そのすべもありません。
でも、尾形君は今でも、私の友達です。
それは「うん、いいよ」と私が答えたからです。
困っているときに助けてくれたり、いっしょに昼ご飯を食べたり、人のうわさ話をしたりするのが友達だと思っている人たちは、尾形君が私の友達だと、認めるでしょうか。
でも、こんな友達もあるのです。
尾形君のことを思うと、私の心の奥が、ぽっと温かくなるのを感じます。
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